Anime Quester

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visionの強度:『DEVILMAN crybaby』も『犬ヶ島』も。

DEVILMAN crybaby
湯浅政明監督。今さら説明しなくたって、みんな大好きで、偉大な監督。

最新作『DEVILMAN crybaby』につき、声優さんやスタッフのトークショーといったイベント無しにストイックに全話鑑賞するという、ストイックなレイトショーに行ってきた。

 冒頭に「NETFLIX」というおなじみテロップが出る以外は、他の劇場向け映画と変わらず圧倒され続けた、幸せな4時間だった。スマホを想定されたコンテンツであっても、大好きな作品世界に浸れる多幸感を倍増させる装置として、映画館という密室メディアの喜び。ただ席に座っているだけで、大画面で、大音響で、素晴らしいアニメーションを見れるんやで! 私は、席に座っているだけなのに!

5話「シレーヌ、君は美しい」後にインターバルがあり、喫煙所で思わず一息をついた。

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原作漫画や90年版OVAのように、ごく僅かな出番ながら、シレーヌへの純愛を鮮烈に残して退場したカイムの切れ味(ゆえの、行間を妄想せざるを得ない余韻)も良い。
が、crybabyのカイムは、シレーヌとペア(≒部下?)になって活躍しているという設定で、暗躍の合間にシレーヌに言い寄っては足蹴にされるというミットモナイ姿を、惜しげもなく晒している。シレーヌがいざデビルマンに接触した場面では、嫉妬心を何とか煙草で紛らわせようとするという、人間臭さ!(※悪魔なのに!)
そうした、きわめてボンクラ描写からの、件の名場面。

シレーヌ。俺の体を使え。合体だ」
「何を言うカイム! この傷がわからないのか? 私はもう死ぬ」
「俺も生き延びるつもりはない。君にデビルマンを倒す勝利の感激を味合わせたいだけだ。俺の命と能力を君にやろう」
「なぜ……?」
シレーヌ、血まみれでも、君は美しい」

カイムにとっては、最愛の人が死んでしまう時点で自らの生はどうでもよかったに違いなく、もしシレーヌの死に際に居合わせなかったら、数日後に緩やかに自殺しただろう。
……という、ボンクラ野郎による報われない愛を、原作より数倍取り上げて描写したところ(誰かを好きになることの、みっともなさも切なさも素晴らしさも肯定する優しい感性)こそ湯浅監督の優しさかしらん……と、カイム描写拡大から思った。

 

■犬ケ島
【解説】「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が日本を舞台に、「犬インフルエンザ」の蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちが繰り広げる冒険を描いたストップモーションアニメ。近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。声優陣にはビル・マーレイエドワード・ノートンらアンダーソン監督作品の常連俳優のほか、スカーレット・ヨハンソングレタ・ガーウィグオノ・ヨーコら多彩な豪華メンバーが集結。日本からも、「RADWIMPS」の野田洋次郎夏木マリらが参加。第68回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映され、コンペティション部門で監督賞(銀熊賞)を受賞した。 ※犬ヶ島 : 作品情報 - 映画.com より

ウェス・アンダーソン監督から見たら日本って、こんなにカッコよく見えるのね。作中、洛中洛外図や浮世絵名作品のパロディが登場するだけでなく、寿司から相撲から歌舞伎から、何なら横尾忠則的感性までも巧みに取り入れられている。「あくまで、」という注意書きはありつつ、監督が描く箱庭ジャポンのビジュアルに、心底惚れ惚れした。

また、肝心のストーリー自体、「近未来日本を想定したメガ崎市を舞台に犬に対して排他的追放令が出たなか、ただ1人愛犬家の12歳の少年が立ち上がる」という王道物語で、落涙ばかり。

今作の製作には、6年かかったという。私がぼんやり過ごしていた6年の間、ウェス・アンダーソンがひたすら今作を作っていたかと思うと、6年思い返して死にたくなった……w

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湯浅政明監督も、ウェス・アンダーソン監督も、唯一無二の映像世界を切り開いている。誰も見たことがないvisionを作るという意味において、起業と映画作りは、改めて似ている。

「起業家にとって最も大事なものは、起業家自身が信じているものの大きさと深さだ。さとるの信じているものに、顧客も、人材も、投資も集まる。起業家が信じているものが大きければ大きいほど、深ければ深いほど、優秀な人材や資金が集まる。アーリーステージの起業家にとって、それが全てだと言っても過言ではない。もし、さとるが今のプロダクトを少しでも信じられないのであれば、それはすぐにやめるべきだ。」

サンフランシスコでの3年間 – シリコンバレーからよろしく