Anime Quester

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『Back Street Girls -ゴクドルズ-』が面白い

夏アニメが始まりましたが、今のところ個人的にとっても楽しいのは、『Back Street Girls -ゴクドルズ-』というコメディアニメです。


お話は、失敗をやらかしたヤクザが、組長の命令(趣味)で性転換と全身整形手術をさせられ、地下アイドル「ゴクドルズ」としてデビューする、というものです。

笑いのツボは、「見た目は子ども、中身は大人」ネタ:「見た目はアイドル、中身はヤクザ」のギャップが基本で、それ自体はある意味、落語にも出てくるような古典的なアプローチです(ジャンル名としては、ライムスター宇多丸さんが劇場版『デトロイト・メタル・シティ』を評されていた時に使った「なりすましコメディ」ですね TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル ……と、出典が回りくどくてすみません。)
本来ならばアイドル向きではないキャラクターがアイドルをやる変則アイドルアニメといえば、『石膏ボーイズ』(2016年)がありましたが、あれに近い面白さです。

戻って『Back Street Girls -ゴクドルズ-』。特徴的なのは、アイドルアニメなのに、絵が殆ど動かないことです。初回の30分間、アイドルがきちんと歌って踊るシーンがOPだけ(それも、恐らく踊っている人のシルエットをなぞっただけで、0から作画をしていない)という省エネ仕様。殆ど「動く紙芝居」状態です。なのに、1枚1枚パンチのある図と、アイドルにされてしまった生粋のヤクザの心情を声優さん達が怪演しているおかげで、もう十分に可笑しいアニメになってしまっています。

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さらに、どうやらもともと原作の絵柄が「何か読み手を不安にさせる絵柄」のようでして、華奢な体躯のアイドル(中身ヤクザ)が、煙草をスパスパ吸ったりウィスキーをラッパ飲みにするシーンは、アルファベット順に子どもが死んでいくだけというブラックな絵本『ギャシュリークラムのちびっ子たち』(エドワード・ゴーリー)を思い出しましたw(『ギャシュリークラム~』にも、「ジンをふかざけ」して死んだ子ども出てきましたね。)

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と、感動しながら観ていった最後のエンドロール、第一話は梶谷光春さん1人原画だった(!)という衝撃に加え、OP映像のスタッフクレジットで脳がフリーズしました。

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「絵コンテ、演出、踊り:今 千秋」……「踊り」?!?! まさか、あのOPは、今千秋監督自ら踊ってたんでしょうか?! ええ……。

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ややナイーブに考えると、主人公3人組、ヤクザになったということはそれまでも穏やかな人生を生きてないうえ、権力者の思い付きで不可逆な不条理に落とされるという、超悲劇的な話なんですよね。"Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot"(人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ)じゃないですが、やたら明るいアイドルソング調の中に「仁義切らせていただきます」「杯」といった不穏ワードが入り込んでくるオープニング曲に、健気さや悲しみすらも感じ取れ、無常観を覚えました。最後は、ヤクザに戻るんでしょうか。それとも、アイドルになる運命を受け入れるんでしょうか。

次回も楽しみです。