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社名あれこれ:「地名」+「商材」で大きく出た会社、など

今年2月、ドンキホーテHDが「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスグループ」に社名変更したことにつき、一部の社会人はザワザワしたのではないだろうか。「新業態をグループ各社とともに今後も開発し(中略)日本のみならず環太平洋地域において小売業の有力な企業として発展していくため」とあるが、理由はどうであれ、大きく出た変更である。

社名が「地名+商材」ってタイプの会社で歴史が長い会社は、生き残るために必然的にメイン事業どんどん変えているのが面白い。代表例はJT(日本たばこ)だ。名前に反し、グループ全体の利益の3分の2が海外事業。日本のタバコ屋さんではとっくにない。このように、「名は体を表す」ではないが、「大きな地名」+「商品カテゴリー名」を持つ大企業の歴史を見ると面白い。

 

アメリカン・エキスプレス(アメリカの荷物輸送)
1850年ニューヨーク州バッファロー運輸業を開始(この時点で、「アメリカの」と名乗っているのが大きく出ている)。1882年に、世界初となる郵便為替事業へ着手したのをきっかけに、金融業へ進出。クレジットカード事業は1958年からだそう。

IBM:International Business Machines Corporation(国際的なビジネス機器の会社)
アメリカのパンチカード会社が、カナダ市場へ参入する際に、こちらの社名へ変更。パンチカードは元祖コンピューターみたいだが、事業ドメインをBusiness Machinesと名乗るのはやりすぎ。

日本電産(日本の電機産業の会社)
始まりは精密小型モーターメーカー。ロボットのように精緻なM&Aを繰り返している当社だが、「電機産業」とふんわりした括りにすることで社名に反さないという、合理的な命名。コーポレート・スローガン「All for dreams」も、何かを言っているようで何も言っていない。

 

また、地名は入っていないが、取り扱う商材面で、大きく出た社名もある。

ソフトバンク(ソフトの銀行)
スティーブ・ジョブスがガレージでコンピューターを組み立ててからまだ5年しか経ってない頃に、コンピューターによる情報革命を見越して「コンピューターソフトの銀行」を名乗る図太さと慧眼。

ファーストリテイリング(小売業で1番)
1991年9月、小郡商事株式会社から商号変更(1990年のロードサイド型店舗出店を経てからなので、「この業態ならイケる!」という手応えあっての変更だろう)。柳井正が社長就任してから7年目のことらしい。それにしても、アパレル業界どころか小売業界全体で1番と名乗る神経。

 

また、社名について1エピソード語れそうな何かを持っている会社は気になる。

資生堂積水化学
中国古典シリーズ。「至哉坤元萬物資生」で資生堂、「勝者の民を戦わしむるや積水を千仭の谿に決するがごときは形なり」で積水化学

幻冬舎
近頃何かと話題の幻冬舎だが、wikiによると五木寛之の造語っぽい。出版社は他にも「ポプラ社」「金の星社」「宝島社」など何かとロマンチックで、文化の香りがする。立川文庫とともに講談本の速記で成功を収めた大日本雄辯會もとい講談社も、明治・大正時代の大衆文化を感じさせ、文系には堪らないエモさがある。

任天堂
「運を天に任せる」は真偽不明のエピソードらしいが、本当だとしたら、(創業時)花札メーカーで「運を天に任せる」と名乗る洒落っ気と、謙虚さ・奥ゆかしさが、なんとも日本の遊び人らしく、個人的にはとても好きな社名。(これが西洋人なら"Heaven helps those who help themselves."、さしずめ「自助堂」を堂々と名乗る)

 

名前は1番の名刺だ。創業間もなく社員3人のベンチャーが「ユニバーサル〇〇」を名乗ったり、「なんでこんな名前にしたんですか?」と突っ込みたくなる造語にしていることもある。アメリカ人がヨーロッパ大陸の文化にコンプレックスがあるのを逆手に、なんとなくヨーロッパ言語っぽく聞こえる造語“ハーゲンダッツ (Häagen-Dazs)”をでっちあげたアイスクリーム屋のエピソードは有名だ。

会社が相手にしたい理想の「お客さま」にとって(ここでいうお客さまとは、具体的な顧客セグメントだけでなく、市場や地域も入るだろう)、ふさわしい名前を名乗るべきなのかもしれない。